神社にいくと清々しい気持ちになりませんか。
おまつりしている神様のご加護が欲しいときもありますね。
神社の正しい参拝の作法を知って、神社に祀られている神様のことを知れば、神社のお参りもより楽しくなります。
こころが落ち着き、自分と向き合える神社。
神社の正しい参拝方法、神社の神様、ブームのご朱印帳、そのほか神社の参拝が楽しくなる知識も紹介します。
神社の参拝の作法
神社への参拝は、お寺のお参りとは違うのは知っていますか。
正しい参拝のマナーを覚えれば、神社の神様に失礼にならずに願い事を伝えられます。
一般的な参拝の作法は、
1.鳥居の前で一礼する
鳥居は神社の玄関口にあたるので、くぐる前には一礼し、神様に敬意を払います。
帰るときも鳥居をくぐった後、振り返って一礼をします。
2.参道は真ん中は神の通り道なので、右か左のどちらかに寄るように歩きましょう。
3.手水舎(ちょうずや)で清める
神様に会う前には礼儀として手水で心身を清めます。
まず、右手でひしゃくを持ち水を汲みます⇒左手にかける⇒ひしゃくを左手に持ち替えて、右手にかける⇒再び右手にひしゃくを持ったら、左手で水を受けて口をすすぐ⇒もう一度左手に水をかけて洗う⇒ひしゃくを立てて柄を洗って完了
これを一すくいの水で行います。
4.二礼二拍手一礼を行う
拝殿に着いたら、賽銭箱に賽銭を静かに入れます。
参拝に来た事を知らせる鈴をしっかり鳴らします。鈴の音には邪気を払い、参拝者を清める意味もあるそうです。
正面に向かって深々と二回礼をします。
パンパンと二回拍手(かしわで)を打ちます。
手を合わせたまま、神様に感謝を伝えてから、お願い事をします。
そして最後にもう一度深々と一礼します。
手を叩くときは、右手を左手より少し下にずらすのが正式。
(神社によって礼や拍手の数が違うところもあります。)
神社の神様について
神社には神様が祀られています。
神社によって祀られている神様はちがいます。
お参りするときにその神社の神様のことや御利益がわかれば
神様にこころをおまかせ出来て、参拝の楽しみも増します。
神社の神様を調べる方法は、都道府県の神社庁に電話してきくか、ホームページにアクセスすればわかります。
日本には『八百万(やおよろず)の神がいる』と言われているようにたくさんの神様がいます。
古事記や日本書紀に出てくる神様、民間信仰によりヒンズー教や仏教から生まれた神様、歴史上の人物が神格化された神様などいろいろです。
ここでは、神社にいらっしゃる有名な神様を紹介しますね。
日本神話のストーリー
アマテラス
日本の天地のはじめ、天井の高天原(たかまがはら)に神々が現れ、イザナキ、イザナミの夫婦神が、島やあらゆる自然、家屋などをつくりました。やがてイザナキからアマテラスが生まれます。
アマテラスは太陽神として高天原(たかまがはら)を治めていましたが、ある時弟のスサノオが高天原で乱暴狼藉を働いたことを知って怒りのあまり『天岩戸(あまのいわど』に隠れてしまいます。
すると世界は闇におおわれてしまいました。
困った八百万の神々は、なんとかアマテラスを出そうと岩戸の前で女神を躍らせたりしてどんちゃん騒ぎの芝居をうちます。
何事かと気になったアマテラスが岩戸から顔をのぞかせたところ、世界に光が戻り、その後スサノオは高天原を追放されました。
人々の平和な暮らしがあるのは、アマテラスが世界を照らしてくれているおかげというわけで、日本人は古代から特別な崇拝をささげてきました。
天岩戸から顔をだしたアマテラスを映したとされる『八咫鏡(やたのかがみ』はご神体で、現在伊勢神宮に鎮座しております。
スサノオ
アマテラスの弟で、イザナキが禊(みそぎ)をした際に鼻からうまれた神。
感情的で行動は奔放。
神話では、イザナキに海原を治めるよう命じられましたが、いやがって泣きわめき、イザナキに勘当されてしまいます。
スサノオの乱暴な行いからアマテラスが天岩戸に隠れてしまい、ついに高天原を追放されてしまいました。
流浪の末、出雲に降り立ったスサノオは、出雲を荒らしていた「八岐大蛇(やまたのおろち)」という怪物を退治します。
その尾から出てきた「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」をアマテラスに献上して和解し、大蛇の生けにえになる運命だった美しいクシダヒメと結婚。
英雄神に変貌しました。
オオクニヌシノミコト
オオクニヌシノミコトは、葦原中国(あしはらのなかつくに)を整えた「国づくり」神話の神で、たくさんの試練を乗り越えたため、たくましく生命力あふれる神として有名です。
最初の試練は兄の八十神(やそがみ)にいじめられて、旅に出た兄たちの荷物持ちをさせられました。
旅の途中でサメに革を剝がされたウサギに出会い、怪我を治してあげます。
その優しさと賢さに惹かれて美女のヤガミヒメは、兄・八十神ではなくオオクニヌシノミコトを結婚相手に選びました。
スサノオのいる黄泉の国ではスサノオの娘・スセリビメと恋に落ち、激怒したスサノオからの無理難題を吹っかけられますが難題を解決し結婚します。
オオクニヌシノミコトは八十神を退治し、国づくりをし、葦原中国は、豊かになりました。
しかしその葦原中国をアマテラスに譲ることになり、
国を譲る代わりに『出雲大社』の起原ともいわれる巨大な社(やしろ)と、幽界を支配する権利を手にいれます。
出雲大社
ニニギノミコト
オオクニヌシノミコトから葦原中国を譲り受けたアマテラスは、生まれたばかりの孫に降臨の役目を任命します。
その孫がニニギノミコトです。
降臨したという地は、「筑紫日向の高千穂」で天皇家の祖先神として祀られています。
そのときニニギノミコトが地上に持ってきたものは、
〇 アマテラスから授けられた『斎庭(ゆにわ)の稲穂』
古代では稲は食とつながる貴重なものでした。
〇 三種の神器 『八咫鏡(やたのかがみ)』『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』
これによりニニギノミコトは、天皇家と神々をつなぐ役目と穀物神として五穀豊穣を祈願されるようになりました。
その他の身近な神様
お稲荷さん
伏見稲荷大社
全国各地で親しまれているお稲荷(いなり)さん。
その総本社は、商売繫盛のご利益があるという京都の伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)です。
主祭神として祀られているいるのがウカノミタマで八百万の神の中でも代表的な食物神、豊穣神。
「お稲荷さん」と呼ばれるようになったのは、渡来系の秦(はた)氏が祀った農耕神が稲を象徴する神だったため、「稲生る」がイナリとなったといいます。
同じ性格を持ったウカノミタマと結びついて、仏教や民間信仰も取り込んで、お稲荷さんとして発展していきました。
お稲荷さんといえば狐を思い浮かべますが、あの狐はお稲荷さんの使いだそうです。
八幡さん
宇佐神宮
源氏の守護神として有名な八幡(はちまん)さま。
全国に4万社以上ある八幡社の総本社である大分県の宇佐神宮に祀られている神様は、第15代・応神天皇です。
応神天皇がなぜ八幡さまとして信仰されるようになったのか、明らかではありません。
北九州の土着の神として生まれた八幡さんが、知識や文物が朝鮮、中国から入ってくる先進の地・北九州で、新しい文化を積極的に取り入れた応神天皇の功績と結びついたとも言われています。
中世以降は源氏の守護神として信仰され、戦勝の神として全国に拡大しました。
天神さん
防府天満宮
神社の神様は歴史上の人物が神格化されて神として祀られることがあります。
天神(てんじん)さまとして受験生に人気の学問の神様・菅原道真は、平安初期の学者。
幼少のころから文才に優れ、文人・政治家として卓越した手腕を発揮していましたが、政敵に陥れられ罪人として失意のうちに亡くなります。
道真の死後、たたりだと言われる現象が続き、道真の霊を鎮めるため京都に北野天満宮が建立されました。
朝廷からは、「天満大自在天神」という称号が贈られます。
「天神」とは『数ある御霊を支配し統率する偉大な神霊』という意味だそうです。
その後、道真の生前の功績が評価され、道真を崇拝する天神信仰が広まり、江戸時代になると『学問・文筆の神様』として庶民の間にも広く浸透していきました。
七福神
縁起物の宝船に乗った姿が有名な七福神(しちふくじん)は、人々に愛されている福の神様。
七福神の顔ぶれは、恵比寿さまをのぞいてすべて中国やインドから来た神です。
七福神のはじまりは、室町時代。
商業が発達した時代で、商人たちが商売繁盛と商品を運ぶ道中の安全を神に祈るようになりました。
このころの七福神は、現在と違う神様が入っていたり、数が違ったりしていたようで、現在の顔ぶれになったのは、江戸時代になってからです。
七福神の紹介
恵比寿(えびす)
右手に釣り竿を持ち、左手に鯛を抱えている恵比寿さま。
その起源は複雑で、一つはイザナキとイザナミが生んだが身体に骨がなかったために海に流されたヒルコ説。
ヒルコは摂津国に流れ着き漁師に拾われて、後に神になったと伝えられています。
もう一説は、オオクニヌシの息子・コトシロヌシで、国譲り神話で父オオクニヌシに国土の支配権をアマテラスに譲るよう進言した神。
その後、海上で船をゆすりながら天の逆手(あめのむかで)という拍手を打って海中に隠れて去りました。
他の説で、オオクニヌシが国づくりに頭を悩ませていたときに、海上から蛾の皮をまとい、ガガイモの実の殻の船に乗ってきたというスクナビコナ。
これらの神様に共通しているのは、海に去って海からやってきて福をもたらすということ。
商人にとって大切な商売繫盛と航海の安全を神様に託して祈願したのでしょう。
大黒天(だいこくてん)
インド出身の金運上昇と五穀豊穣の神。
もとは、ヒンズー教のシヴァの化身である軍神マハカーラ。
密教とともに日本に伝えられると、オオクニヌシと合わさって豊穣、財福の神として広く信仰されるようになりました。
毘沙門天(びしゃもんてん)
インド出身のヒンズー教の神・クペーラ。
財の神だが中国に伝わると武神となって、日本では楠木正成や上杉謙信などの武将が篤く信仰していたということです。
ご利益は厄難退散、勝利祈願。
弁財天(べんざいてん)
厳島神社
琵琶を持った美女の弁財天は、ヒンズー教の川の女神サラヴァティーが仏教に取り入れられ、中国を通じて日本に伝わると芸能上達、学問成就、金運の神様として祀られるようになりました。
布袋尊(ほていそん)
布袋さまは、中国の唐代末期に実在した僧侶です。
太鼓腹に大きな袋を持って、人々の喜捨を受けながら旅をしたといい、弥勒菩薩(みろくぼさつ)を篤く信仰していたことから死後、弥勒菩薩の化身としてあがめられました。
福禄寿(ふくろくじゅ)
福禄寿は、「幸福」「富貴」「長寿」を意味し、この3つを授ける中国出身の神。
南極星の化身と言われ、体と同じ長さの頭を持ち、室町時代から七福神の一人に入っていました。
寿老人(じゅろうじん)
中国出身の南極星の化身とされる道教の神。
白い髭を伸ばした老人の姿をし、延命長寿の神として信仰されています。
御朱印と御朱印のいただき方
近年女性に人気の御朱印めぐり。
そもそも御朱印とはどんなものなのでしょうか。
御朱印とは、もともと写経を寺社に納めた際、寺社が参拝者に授与した証のことをいいます。
江戸時代に庶民の参拝が一般化し、御朱印を授与することが広まり、奉納料を納めれば誰でも受け取ることができるようになりました。
御朱印という呼び名は、昭和になってから定着したそうです。
一筆一筆手書きされる御朱印は、寺社によって形は様々。
御朱印は訪れた寺社の神様との縁が結ばれた証になるので、大切に扱いましょう。
御朱印のいただき方
1.参拝を済ませる
2.社務所に行く
3.御朱印帳の書いてほしいページを示して、初穂料を納める。300円程度が多い。
4.書きあがるまで静かに待つ
5.御朱印を受け取るときは、きちんとお礼を述べて立ち去るようにしましょう。
神社ミニ知識
鳥居の役目
神社は神が住んでいる所なので、鳥居はくぐることでけがれを祓うという意味があります。
鳥居の起原は、アマテラスを天岩戸から外に誘い出すために、神々が鳥を鳴かせた木が鳥居になった、という説や、
東南アジアの部族の村に、悪霊を防ぐ門の役割を持つ鳥居があり、それがもとになっているという説があります。
神様の数え方
神さまは、決して一人、二人とは数えません。
「柱(はしら)」が神さまを数えるときの単位。
例えば、アマテラス、スサノオ、オオクニヌシは、三柱となります。
こうして数えるようになった理由はいくつかの説があり、日本の家の中央にあった大黒柱が起原という説、神社の神事で柱を立てる習慣がありそれがもとになったという説など様々あります。
神社のお守りとお札の由来
お守りもお札も神の分霊とされています。
お守りは、「守札(まもりふだ)」が正式名称。
古来日本人が神様の加護を得るために身につけていた石「勾玉(まがたま)」が始まりとされ、6世紀ごろ仏教が日本に伝わって呪符が配られるようになってから神社でもお守りがつくられるようになりました。
お札は、神社でお祓いをする「大麻(たいま)」が変化したもの。
大麻とは白い紙をたくさん垂らした棒のことで、これを箱に入れてお祓いを受けた人に渡していたのが、お札へ変わったということです。
まとめ
熱田神宮
現在全国に8万社以上神社があるそうです。
それぞれが歴史を持ち、ゆかりの神様をお祀りしています。
日本では八百万の神と呼ばれるように様々な神様がたくさんいらっしゃいます。
いつも参拝している神社の歴史がわかれば、祀られている神様やご利益についてより身近に感じられるでしょう。
さらに初めて参拝する神社の神様について知っていれば、楽しく、そしてお願いをするのも今までと違ったものになるに違いありません。
正しい参拝の作法を知れば、気おくれすることなく参拝できますね。
神社に行くと、こころが落ち着きます。
日常生活でなかなか心静かになれる場所がないなか、
神々がいらっしゃる神社の空気は、気持ちを静かに、クリアにしてくれます。
たくさんの神様と会える神社に出かけてみませんか♪
参考資料:「日本の信仰がわかる神社と神々」かみゆ歴史編集部編著・朝日新聞出版